【No.37】基準はどこにあるのか?
先日、全国展開している飲食店の本社へ取材をしてきました。
私が勝手に抱いている、大変失礼な「偏見」ですが、
「チェーン店=効率重視=業務用加工食品を多用=おいしくない」
という図式があります。
別の日、諸事情で、別の大手飲食チェーン店に行きました。
「来なければよかった…。
レトルト食品食べた気分」
カロリーは摂ったものの、
食べ物としてのエネルギーを全く感じられないものを
体に入れてしまった、なんとも残念な気持ち。
貴重な一食を…。
軽くムダに落ち込みました(苦笑)
多分、2度と行かないと思います。
そして、今回の取材先。
下調べも兼ねて、家族で外食しました。
「ん? 思ったより悪くない。
意外にいいかもー!」
楽しく食事をすることが出来ました。
(先のお店の後だったから、ますますよかったかも)
味も、サービスも、価格も、トータル的に考えたら、
また来てもいいなという感じ。
(上から目線で、スミマセン)
本社へ取材して、その理由が分かりました。
超ざっくり書くと、
人の手をちゃんとかけている。
おいしさに対する基準も熱量も違う。
ある食品メーカーさんも、
「あの会社のメニュー開発は、びっくりするくらい時間をかけている」
とおっしゃっていました。
全国に100店近く展開していても、
各店舗に料理長と、調理専門社員を2人置く、
徹底ぶり。
本社には、研修用の大きなキッチンもありました。
取材をしながら、
おいしさに対するプライドを持ち、
基準を高く持っている印象を受けました。
しかしながら、食事をしたとき、
「これだけのこだわりを、私は感じられたか?」
と自分に問うたら、
「それほどでもない…」
今回のお店に限らず、取材してよく思うことがあります。
基準を高く、情熱を持って、
すばらしいモノを作っても、
伝わるのは、半分以下か、ほんの少し。
「ほんの少し」どころか、伝わっていないことすらあります。
(伝え方の問題もありますが)
受け手の
「なんとなくいいかも?」
をもってもらうには、
基準を高くして、情熱を持って
やっと少し、伝わるのかなと。
人それぞれに価値観もアンテナも違うし、
作り手の思いが100%伝わるなんて、奇跡です。
私が持っているイメージは、
作り手と、受け手の間には、
「分厚い柔らかなカベ」
みたいなものが、存在します。
「分厚い柔らかなカベ」
みたいなものがあっても、伝わってしまうくらいの
商品の個性や、商品に対する熱、基準の高さがあって、
はじめて伝わるのかなと。
「ん? 思ったより悪くない。
意外にいいかも♪」
を、感じてもらうには、
簡単じゃない、ということを
改めて感じさせてもらった取材となりました。
「伝え方」以前の、
「あり方」なのでしょうね。
見方を変えれば、
「分厚い柔らかなカベ」はあっても、
高い基準と、情熱があれば、
ちゃんと伝わるということ。
私自身も、心したいと思います。
蛇足ながら、今回の取材先以外にも、
嫌いじゃない(夫と子どもは大好き)全国チェーン店はあります。
積極的には行きませんが、
全く食べていないわけじゃないですよ。
明日から7月。
2016年の後半がスタートします。
お互い基準を高く、
充実した時間を過ごしましょう!