説得力をもたせるために【話 説得力】
新聞小説を読みつつ、
「なんだか説得力ある表現だな~」と
思わず読み返したセリフがありました。
ワタクシ、新聞の中でも、
特に大好きなコーナーの一つが
新聞小説なんですよね(笑)
連続ドラマのような感覚です。
話の流れが論理的だと、人は、つい納得してしまう
その説得力のあるセリフが書かれた
小説の舞台は、
2世紀末~3世紀の中国。
諸葛亮(主人公)が、
朝早くから掃除をしている
徐元直に言った言葉です。
(ここから)
「おもしろいとは、
たれのまねもせずに独特である、
ということです。その点、あなたはおもしろい。
また、早朝、暗いうちからの掃除は
陰徳(いんとく)を積む善行であり、かならず陽報(ようほう)があり、
あなたに吉(よ)い報いがあります。それだけではありません。
掃除はその場を清潔にする。
もっといえば、
神が降りてきてもよい聖なる場にする行為です。すると、あなたのおもしろさは、
人がはかる程度のものではなく、
神がはかるというものです」
日本経済新聞夕刊2022年4月26日付
「諸葛亮」宮城谷昌光
掃除という行為に対して、
こんな説明ができるとは、
と、思わず読み入ってしまいました。
話に説得力があるように
感じませんか?
何が、そう感じさせるのか?
それは、話の流れが
「三段論法」に近いから
なんでしょうね。
三段論法というのは、
次のようなものです。
大前提:人間は死ぬ。
小前提:私は人間である。
結論:だから、私は死ぬ。
大前提は、
絶対的な事実や一般的な事象、
小前提は、
具体的な事実、
結論は、
二つの前提をもとにした推論。
「三段論法」は、
古代ギリシャの哲学者である
アリストテレスが確立しました。
今回の例でいえば、
こんな流れです。
大前提:
朝早いうちの掃除は、善行で吉い報いがある。
掃除は、神が降りてきてもよい聖なる場にする行為。
小前提:
徐元直は、朝早くから掃除をしている。
結論:
ゆえに、徐元直は吉い報いがある。
(神がはかるおもしろさを持っている)
大前提が、
絶対的な事実かどうかは微妙で、
セリフの中では、
小前提が抜けているため、
厳密には三段論法とは
言えないかもしれませんけどね。
とはいえ、話の流れは、
参考になるのではないでしょうか。
*
あなたの話に
深みや説得力を持たせたいとき、
この三段論法は使えます。
話の流れが論理的だと、
人は、つい納得してしまうもの。
よかったら
工夫して使ってみてくださいね!