【No.76】 「●●●」よりも「○○」を褒める。
大阪梅田での打合せの帰り、電車に乗っていたら、
見慣れた渋い本を開いている、
鮮やかなバックと靴のステキな女性が座っていました。
見慣れた渋い本とは、
お能の謡(うたい)で使う「謡本(うたいぼん)」。
いわゆるテキストみたいなものです。
それも、同じ金剛流の紋!
うれしくって、電車を降りるとき、つい声をかけてしまいました。
変な顔されずに、笑顔で言葉を交わしましたよ。
扉が閉まりそうで、どの先生に習われているまでは聞けず…。
少々悔やまれます。
それにしても、あまりに珍しい出来事に、
声をかけずにはいられませんでした(笑)
今日は、昨日に引き続き、
『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』(アダム・グラント・著 楠木建・訳)の
内容を一部シェアします。
子どもは、褒めて育てた方がいい、
イヤ、褒めてはいけない、認めるだけでいい、
さまざまな意見、考え方があります。
同書には、効果的な褒め方として、
次のようなことを示していました。
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「行ない」よりも「人柄」を褒める
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(同書)
「人柄」と「行ない」を褒めた2つのグループに分けて
実験を行ったそうです。
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2週間後、「人の役に立てる子だ」と褒められた子どものうちの
45パーセントが、入院している子どもを元気づけるために
図工の材料を寄付したが、
「役に立つ行ないができた」と褒められた子どものうちでは
10パーセントに留まった。
人柄を褒められると、
それを自分のアイデンティティの一部としてとり込むのである
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(同書)
「人の役に立てる子だ」は、人柄を褒めた場合、
「役に立つ行ないができた」は、行ないを褒めた場合です。
人柄を褒めた子どもは、気前よく振る舞ったのだそう。
とはいっても、人柄を褒めるのは、
アイデンティティが形成されはじめる
重要な時期(8歳くらい)の子どもには効果的だったけれど、
5歳や10歳の子どもは、あまり効果がなかったそうです。
一方、次の方法は、どんな年齢でも効果があるそうです。
「人格に訴える」方法です。
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「不正をしないでください」
という言い方ではなくて、
「不正を働く人にならないでください」
という人格に訴える言い方に変えることで、
不正をする被験者が半分になったのである。
(中略)
強調する対象が行動から人格へ移ると、
選択肢の判断が変わってくる。
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(同書)
行ないは、一時ですが、
人格は、存在そのものに影響しますもんね。
3~6歳の子どもにも、
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「手伝って」といわれたときよりも
「お手伝いができる子になって」といわれたときのほうが、
22~29パーセント高い確率で、
積木やおもちゃ、クレヨンを片づけたそうだ。
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(同書)
なんて、ありがたい実験をされたのでしょう!
喜び勇んで、4歳の息子に試してみました。
結果は…、
効果なし…(涙)
子育てに完璧な答えはないですね。
わが家の小さな実験ではうまく行きませんでしたが、
「人格に訴える」ことは、何かと活用できそうです。
くれぐれも、親のエゴで、子どもをコントロールしようとする姿勢には
気をつけたいところ。
ここまで書いて、大人でもよく使っている場面に
遭遇していることを思い出しました。
使うことにも、使われることにも、敏感になりそうです。
道徳的にうまく活用したいですね。
『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』
アダム・グラント・著 楠木建・訳
http://urx3.nu/xDJz