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2016-08-08

【No.76】 「●●●」よりも「○○」を褒める。

大阪梅田での打合せの帰り、電車に乗っていたら、
見慣れた渋い本を開いている、
鮮やかなバックと靴のステキな女性が座っていました。

見慣れた渋い本とは、
お能の謡(うたい)で使う「謡本(うたいぼん)」。
いわゆるテキストみたいなものです。

それも、同じ金剛流の紋!

うれしくって、電車を降りるとき、つい声をかけてしまいました。
変な顔されずに、笑顔で言葉を交わしましたよ。

扉が閉まりそうで、どの先生に習われているまでは聞けず…。
少々悔やまれます。

それにしても、あまりに珍しい出来事に、
声をかけずにはいられませんでした(笑)

今日は、昨日に引き続き、
『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』(アダム・グラント・著 楠木建・訳)の
内容を一部シェアします。

子どもは、褒めて育てた方がいい、
イヤ、褒めてはいけない、認めるだけでいい、
さまざまな意見、考え方があります。

同書には、効果的な褒め方として、
次のようなことを示していました。

―――――――――――――――――――――――
「行ない」よりも「人柄」を褒める
―――――――――――――――――――――――
(同書)

「人柄」と「行ない」を褒めた2つのグループに分けて
実験を行ったそうです。
―――――――――――――――――――――――
2週間後、「人の役に立てる子だ」と褒められた子どものうちの
45パーセントが、入院している子どもを元気づけるために
図工の材料を寄付したが、
「役に立つ行ないができた」と褒められた子どものうちでは
10パーセントに留まった。

人柄を褒められると、
それを自分のアイデンティティの一部としてとり込むのである
―――――――――――――――――――――――
(同書)

「人の役に立てる子だ」は、人柄を褒めた場合、
「役に立つ行ないができた」は、行ないを褒めた場合です。
人柄を褒めた子どもは、気前よく振る舞ったのだそう。

とはいっても、人柄を褒めるのは、
アイデンティティが形成されはじめる
重要な時期(8歳くらい)の子どもには効果的だったけれど、
5歳や10歳の子どもは、あまり効果がなかったそうです。

一方、次の方法は、どんな年齢でも効果があるそうです。

「人格に訴える」方法です。

―――――――――――――――――――――――
「不正をしないでください」
という言い方ではなくて、
「不正を働く人にならないでください」
という人格に訴える言い方に変えることで、
不正をする被験者が半分になったのである。

(中略)

強調する対象が行動から人格へ移ると、
選択肢の判断が変わってくる。
―――――――――――――――――――――――
(同書)

行ないは、一時ですが、
人格は、存在そのものに影響しますもんね。

3~6歳の子どもにも、
―――――――――――――――――――――――
「手伝って」といわれたときよりも
「お手伝いができる子になって」といわれたときのほうが、
22~29パーセント高い確率で、
積木やおもちゃ、クレヨンを片づけたそうだ。
―――――――――――――――――――――――
(同書)

なんて、ありがたい実験をされたのでしょう!
喜び勇んで、4歳の息子に試してみました。

結果は…、

効果なし…(涙)

子育てに完璧な答えはないですね。
わが家の小さな実験ではうまく行きませんでしたが、
「人格に訴える」ことは、何かと活用できそうです。

くれぐれも、親のエゴで、子どもをコントロールしようとする姿勢には
気をつけたいところ。

ここまで書いて、大人でもよく使っている場面に
遭遇していることを思い出しました。
使うことにも、使われることにも、敏感になりそうです。

道徳的にうまく活用したいですね。

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』
アダム・グラント・著  楠木建・訳
http://urx3.nu/xDJz